病気やケガと付き合う家庭の力COLUMN

2020.12.22

5.感じてみよう、心肺機能

5.感じてみよう、心肺機能

子どもの胸に手を当ててみましょう。

胸のやや左側に手を当ててみると、心臓のドキドキする拍動がわかります。呼吸は、胸の動きや鼻と口の動きなどを意識すると見えてきます。

子どもが心肺機能をしっかり使っていることを感じると、生命が手を通して伝わってくるような気がします。日々感動ばかりはしていられないので、時々そんな瞬間があると、いいですね。

実際に触って心肺機能を感じてみましょう

子どもは2歳半を過ぎるころから走るようになります。走れる子は安全な場所でしっかり走らせましょう。 

子どもがいっぱい走ると、無理をしないかと心配になるかもしれません。 しかし、3歳までの子は自分の体に正直です。

自分の力の限界を試すかのように走れる間は走るのですが、しっかり走ったあとは子ども自身で止まります。

(4~5歳以上では、頑張り屋さんには無理をしないように、気をつけてあげましょう)

6畳間程度の広さを3周走ったぐらいでしょうか。止まったら、子どもを前向きに抱っこして後ろから大人の手を胸にあててみてください。Tシャツやトレーナーの上からでも心臓の鼓動が触れドキドキするのがわかります。

脈がすごく速くて、心配になるぐらいです。呼吸もハアハアと速くなっています。おそらく心肺機能をめいっぱい使っている状態でしょう。健康な子どもは、しばらく休んだらまた動き出します。体の動きと同様に心肺もしっかり動かして、自然に鍛えているかのようです。

0~1歳児は、大泣きしているとき脈も呼吸も速くなっています。昔の人は「よく泣く子は元気な子」と言いました。

今は住宅の気密性が良く泣き声も響くので、泣かせて鍛える余裕を持ちにくいですが、何かの加減ですごく泣くときは胸に手を置いて鼓動を感じ呼吸の速さを見る良い機会かもしれません。

いつもどおり?変化に気づく為に「いつも」を知る

日常的にこんな状態を感じとることが病気の備えになります。

例えば病気で熱が出た時、熱は体の免疫反応の一つなので、反応に応じて呼吸も脈も速くなります。熱が高い時、脈や呼吸の速さが心配なことがありますが、元気で走っている時と同じかなと思えたら、少しは不安になる気持ちが少なくてすむように思います。

眠っている時は、体を休める方の自律神経が働きます。心臓はそれほどしっかり働かなくてすむように、手足の先の血管が拡張して血液が体中をゆっくり流れるようになります。

だから、眠いと手足が温くなります。呼吸も少し深くゆっくりした呼吸になります。眠い時の状態も個人差があり、手足が冷たいまま眠る子もいます。お子さん一人一人、どんな風に眠るのか、日頃から見ておきましょう。

日頃の眠り方をよく知っていると、病気の時の受診の判断がしやすくなります。

例えばインフルエンザなどで熱が高くなり、その状態でよく眠る時、ただ熟睡しているのか、脳炎・脳症で意識障害があるのか心配になるかもしれません。そんな時に受診を決めるには、眠り方が「いつもと同じ」か「いつもと違う」のかは大事なポイントです。

「いつも」をよく知っておくことは大変大事なことです。

終わりに・・・

保護者がしっかり日頃から子どもの体のことを見て触わることはとても大事なことです。肌感覚で子どもの体を感じていると、何か重い病気や緊急の時には、「これはおかしい!」と気づくでしょう。