お腹も変化がわかりやすくおもしろいので、よく触ってみてください。触り方は手のひら全体でやさしく触ります。
便秘が気になる人は向かい合わせになって親指側から小指側へと時計まわりになでると、大腸の動きと同じ方向でマッサージになります。
胃は食べ物が入っている時といない時で膨らみ具合が違います。朝起きたばかりの着替えの時に触わると、胃に食べ物が入っていないので、お腹全体がやわらかいです。
背中が触るぐらいぺちゃんこの子もいます。哺乳後や食後はおなかがふくらみますね。膨らんでいるのは、全部胃です。強く押してゲエッと吐くといけないので、やさしく触ってください。張りがあって中味が入っていると感じられるでしょう。
2歳半~3歳半ぐらいの子だったら、食後「お腹の中に何が入っているか、当ててみようか?」と言って触わると、おもしろいです。「パンが入ってる」と言うとびっくりしてくれます。
「牛乳も」と重ねて言うと、「なんでわかるんだろう?」と不思議な顔をします。
すぐ前に食べた物を言っているだけなのですが、この年齢の子は触った手が魔法の手に思えるようです。
「ニンジンとポテトも」「…すごい!!」感動と尊敬のキラキラしたまなざしで見てくれます。
4歳を越えると、そんな子どもだましには乗らなくなるので、この年代限定の宝物のようなやり取りです。
幼児の時からおなかを触り慣れていることはとても大事です。
4~5歳ごろになると、お腹の痛みを訴えることがよくあります。
それまで元気で、顔つきも顔色も普通な時は、たいてい重い病気ではありません。食後や便を出す前に腸が動いた時とかガスが動いた時などの痛みが多いのです。
あまり大したことがなさそうと思っても、訴えてきたらおなかを触わってください。
その時にいつもと余り変わりがないと感じたら、ますます大丈夫な可能性が高いです。触っている人が「大丈夫」と思ったら、その人も子どもも安心です。
また、「イタイのイタイの、飛んでけ!」と言ってさすると、本当に痛みが無くなると言われています。
子どもの脳は、痛みを感じる部分と触れていると感じる部分がしっかり分かれていないので、ちょっとした痛みの場合すぐそばを触ると、痛かったのか触られたのかわからなくなるという説もあります。
お腹も触ってあげるとこの効果が期待できます。誰かにさすってもらってお腹の痛みが減ったら、子どもも親もホッとして安心します。
これでおさまる痛みや30分程度で治る痛みは、重い病気の心配はありません。
子どものおなかの病気は怖い気がしますが、受診のタイミングを決めるのはあまり難しくありません。
子どもは体中のどこかに重い病気がある時、絶対全身に現れてきて、機嫌が悪く、元気がなくなって、遊ばなくなります。
お腹の中にとんでもない病気がある時に、元気で遊んでパクパク食べる子はいません。さらに、お腹を触った時の感じが何か変だったり、異様に痛がったりします。痛み初めはよくわからないこともありますが、もし重い病気がある時は治らないので、1~2時間後もずっと痛がり、触ったときの様子が最初よりもおかしくなります。
そんな時はその時点ですぐ受診すれば、間に合います。
お腹の病気で受診が遅れるのは、案外我慢強い小学生などで見られます。痛いと言った時、親が心配して顔色を曇らせると、「心配をかけてはいけない」とか「叱られる」とか思うようです。
おなかが痛くても黙って我慢して、半日ぐらいたってから気づくこともあり、受診のタイミングが遅れてしまいます。
日頃から、ちょっとした時にもお腹を見せる子と、お腹を見るのが楽しく感じて苦にならない親、という親子関係を作っておくことが大事です。
次回は、
「5.感じてみよう、心肺機能」を説明します。