第31回日本外来小児科学会年次集会
2022年8月27日(土)・8月28日(日)
会場 ▶ 福岡国際会議場
NPO法人小児救急医療サポートネットワーク 看護師1) 医師2)
小倉 あゆみ1) 宮下 佳代子1) 的場 仁美1) 川内 千晴1) 阿部 榮子1)
福井 聖子2)
背景
小児では新型コロナウイルス(COVID-19)(以下、コロナ)感染による重症例の報告は少ない。しかし当初は未知のウイルス感染への不安、第5波以後は小児の感染者の増加など、家庭生活や小児医療は大きな影響を受けた。
目的
コロナ感染症対策は保健所が主で電話対応も行なわれているが、小児救急電話相談(以下、#8000)への相談も多かった。今回は、大阪府#8000におけるコロナに関連する相談を抽出し、内容の詳細について報告する。
方法
2020年1月からコロナ関連の相談についてチェックを開始した。相談は録音を再生し、相談理由・紹介先等を記録した。調査期間は2020年1月~2022年4月、子どもの年齢・症状・対応と合わせて検討した。2020年3-5月を第1波、7-9月;第2波、12月-2021年2月;第3波、4-6月;第4波、7-9月;第5波、2022年1-3月;第6波として集計した。
結果/考察
期間中の相談件数総数は124,276件、コロナ関連の相談は4,361件(3.5%)であった。第1波では相談の24.7%は「受診先の感染が心配」といわゆる受診控えの相談であった。第6波ではコロナの相談が全体の1割以上を占め、子どもが感染者または濃厚接触者で発熱などの症状が出た場合の相談が多かった。どの波においても症状は発熱が8割前後を占め、「すぐ受診」を勧めたのは15%以下であった。「保健所につながらない」ため不安が増幅した事例も散見された。全体を通して保護者の「コロナ感染」への不安は強く、子どもの状態を見極めて対応を考えることができない状況が推察された。この間、国や自治体から様々な方針が出されたが、受診可能な医療機関の案内や電話相談機関同士の連携について行政から指示はなく、横の連携も作れなかった。報道を含め、保護者の不安軽減と冷静な対応を促すような情報提供のあり方も検討が必要と考えられた。