病気やケガと付き合う家庭の力COLUMN

2021.08.12

4.嘔吐~新生児期の赤ちゃんの場合~

4.嘔吐~新生児期の赤ちゃんの場合~

飲んだり食べたりした物が口から出ると、「吐いた」とあわてて心配になるかもしれません。しかし、生まれてすぐの赤ちゃんはお乳が口から溢れることも多く、幼児も病気でなくても嘔吐することがあります。今回は、生まれてすぐの赤ちゃんの嘔吐・溢乳・吐乳についてのお話です。

空気が入りやすい飲み方・口へ逆流しやすい胃袋

赤ちゃんはママのお腹の中にいるときは、おへそから栄養を送ってもらっていましたが、生まれてママから離れたら自分で飲まないといけないので、「飲む」という動作は初心者です。

また、大人は飲み物を飲むときにお口を閉じてゴクンと呑み込みますが、赤ちゃんは、お口は乳首に当てて開いた状態で、呼吸もしながら飲みます。お乳を飲むときに空気もいっしょに飲み込んでしまうので、まだ小さな胃袋に空気とお乳が入ります。空気がお乳を押し上げるとお乳も口から出て「吐く」ことになってしまいます。

また、赤ちゃんの胃は大人より丸く縦長で、食道からの入り口を絞める筋肉は発達していないので、飲み過ぎたり空気で押されたりすると、簡単に胃から食道にお乳が逆流してしまいます。お口からお乳が出る「溢乳」やゴボッと吐く「吐乳」が起きやすいのです。赤ちゃんによっては、ゴボッよりもさらに一気に噴水みたいに吐くこともあります。

「嘔吐」と思って、慌てない

吐かないで欲しいとは思いますが、赤ちゃんがお乳を吐く場合病気の症状であることはほとんどないので、慌てずに吐いた物を拭き取ったり、着替えをさせましょう。

胃が空っぽになると、また欲しがることもよくあります。様子が落ち着いていたら、それほど時間を空けずに飲ませて大丈夫です。

一気にたくさん飲み過ぎたと思われる場合は、少しずつで回数を多くしてもいいのですが、1回の量が足りずに泣くと、泣いたときに空気も飲み込んでさらに吐きやすい状態になる可能性もあります。しっかりゲップをさせる・飲んだあと縦向きに抱っこする時間を長めにするなどを試してみながら、あとは発達を待ちます。

親も子もだんだん上達

赤ちゃんも、だんだん飲み方やゲップの出し方がじょうずになってきます。ママやパパのゲップのさせ方もじょうずになってきます。お乳を吐いても、飲んだお乳が栄養として足りていれば、体重が増えてきます。せっせと体重を測らなくても、すやすや眠ったり、目を開けて穏やかに過ごす時間があり、体つきがぷくぷくしてくれば、心配はありません。

個人差も大きいのですが、生後3~4か月ぐらいになると溢乳や吐乳は減っていきます。また離乳食が進むと固形物が入るので、吐きにくくなります。

病気の場合は

もし急に不機嫌になり、泣き声が弱々しいとか甲高くて、お乳を欲しがらず吐く場合は、夜間でもすぐに小児科を受診しましょう。

また、生後1か月が近づくにつれて、だんだん吐く回数が多くなり、体重が増えないか痩せてきたように見える場合は、日中に小児科を受診しましょう。

次回は、

5.嘔吐 食べ物を吐く場合」を説明します。