全国の#8000事業は開始後15年を経過し、今では全都道府県で実施され年間90万件以上の相談件数がある。
2019年7~9月の内閣府世論調査では、#8000の周知率は、全年齢層全体で21.9%、未就学児の保護者では70.6%で、全国的に周知が進んだことが示された。
(公社)日本小児科医会で厚生労働省の委託を受け#8000情報収集分析事業として、2018年度は25都道府県各3か月分約20万件のデータ収集と分析が行われ、2019年度は30都道府県に拡大された。
#8000の名称は、2018年(平成30)年4月に厚生労働省の通達で「小児救急電話相談事業」から「子ども医療電話相談事業」 に変更された。都道府県での名称は各都道府県で 決めることが認められている。大阪府では、従来からの名称である小児救急電話相談を継続している。
2019年度の相談件数は60,929件(1日平均166.5件)に達した(図1)。深夜帯の比率や20時・21時台に増加が多い傾向は例年と同じであった。月別の相談件数と推移(図2)では、ここ数年と同様4~7月の相談件数が多く、3月は例年に比べ少なかった。
2019年度は、大阪府医療対策課により、#8000・#7119・大阪府救急医療情報センターの意見交換会が開催された(不定期開催)。これらの取組みを通じて、可能な範囲で#7119からデータを開示していただいた。
#7119に関するデータは平成30年のため、ここでは#8000も平成30年の集計を用いた。
平成30年度年報では、#7119は医療機関案内と救急医療相談に分かれ、それぞれ集計報告の方法も若干異なっている。医療機関案内は、小児科系(小児科・小児外科・新生児科)案内件数として50,758件(全体215,363件中23.6%)で、救急医療相談は15歳未満件数が56,655件(全体117,685件 中48.1%)であり、合わせると#8000のおよそ2倍の対応が行われている。
今回#7119の小児の時間帯別救急医療相談件数を問合わせた結果、電話相談において#7119と#8000の件数はほぼ同じであるが、夜間の#8000開設時間帯の#8000相談件数は#7119の2~3.5倍で、#7119は19時にピークがあり、20時以後は少なくなっていた(図5)。
2020年1月~7月における#8000の相談のうち、相談時および録音チェック時に、コロナウイルス感染に関連した相談(以下、コロナの相談)と認識された電話相談について、集計した。
コロナの相談件数は4月に急増、6月に向かい減少傾向であったが、7月に再度増加した。この間#8000全体の相談は昨年度に比べて少なく、5月の相談件数は昨年度の53%であった。
相談内容を整理すると、表2に示すように、今の症状がコロナ感染の可能性がないかといった相談が52.7%と最も多く、次には受診先での感染を心配する相談が23.6%を占めた。
どこに受診すればいいかといった相談が1割、家族が感染や濃厚接触者の場合などの相談が1割弱であった。月別推移では、当初感染の可能性の相談が数例あったが、4月には症状の相談と感染の心配が急増した。感染者が再度増加した7月には症状の相談と受診先の相談が増えた。
下位の項目では、4月には保健所からの紹介や心理的な不安の相談が多かったが、7月は検査を受けるにはどうしたらいいかといった相談が多く、感染が身近になったが、具体的な対応を求める相談が増加した。